スカートをはけなかった私へ
太っていた頃は本当に何をするにも周りの目が気になっていた。
特に「女性性」に関するもの。
「太っているのに女性らしい恰好したらみっともない」という思い込みから、いつもジャージやTシャツで、スカートなんてほとんどはかなかった。スカートをはいても似合わない気がしていたし、見た人はきっと「いや、スカートはく前に痩せろよ」と思われている気がしてどうしてもかわいい恰好はできなかった。
その名残で今もモノトーン系の服ばかりになってしまうし、女性らしい洋服にまだ抵抗がある。
美容院に行っても「こんな髪型にしてほしい」ということを言えなかった。
美容師さんにも「いや、髪型云々よりも、まずは痩せろよ」と心の中で言われている気がした。
いつも「適当でいいです」と言っていた。
自分はおしゃれなんか気遣ってないですよ、髪の毛が伸びただけだから来ただけなんす、と見えるように努力していた。
もちろん女性誌も買えない。
「えっあんなデブがおしゃれしたいの? てゆーか着られる服あるんか?」と思われるのが怖くて女性誌コーナーにも恥ずかしくて行けなかった。
それから恋愛について。
自分に自信が全くないから、絶対に自分から好意は伝えられない。
それでも自分のことを好きだと言ってくれる人はいたけども、「こんな自分を好きなはずはない」と思っていていつも不安だったし、すぐに捨てられると思っていた。
ちょっとしたケンカや連絡が取れなくなっただけで「ああやっぱり! やっぱり私なんて愛されるはずがない!」と必要以上にふてくされて相手を攻撃してしまっていた。今考えると完全にメンヘラだよね。
仕事でも悪循環。
これも自分に自信がないから、振られた仕事はすべて受けてしまう。仕事しか自分の価値がないと思っているから、断るなんて考えられなかった。
どんどん仕事量が増えてしまい、パンク寸前なところを徹夜してまでなんとかやってしまう。そして徹夜していることを上司は知らないので、それが普通だと思ってまたどんどん仕事を振られてしまう。結局私はどんな仕事もなんとなくこなしてくれる都合の良い社畜と化す。
「自分は太っている」
という思いだけで、こんなに人生のすべてが悪循環に陥っていた。というかすべてを太っているせいにしていた。本当はほとんどの問題は太っていようがいまいが関係ない。だけど太っているからダメなんだという逃げ道があったから、自分に自信が持てないことを自分の弱さを全てそこに押し込んでいたのだ。
結局は逃げてただけ。
デブを超こじらせていたら私も、標準体重にさしかかり少しずつ自分に自信を持つ、自分を大事にする、ということが分かってきた。
だから絶対あなたも変われる。
太っていることにコンプレックスがあるんだったら、まずは一歩踏み出してみよう。そして踏み出した自分を目いっぱい褒めよう。
まずは小さな目標から。
今日はお菓子を食べないでみよう、って決めてみて。
もし達成できたら、夜に鏡を見ながら自分を思いっきり褒めてみて。自分で自分の頭を撫でてみて。それだけですごく良い気分になるよ。
達成できたら、じゃあ次は隣の駅まで歩いてみよう。これも達成できたらまた自分に花マルをあげよう。
いきなり高い目標を立てるのはNG。ちょっと物足りないかな、と思う目標を少しずつ達成していくことが長続きのポイント。
たまには達成できない日があってもいい。ダイエット人生のたった1日だけだから。
少しずつ達成できるようになってくると「私は目標を達成できる素晴らしい人間だ」と思えるようになってくる。
そして自分は存在価値のある人間だと思えてくるよ。
そしたら仕事で何かミスがあっても、「人間だからこんなこともあるよね。ま、私は素晴らしい人間だし次気を付ければ大丈夫」とちょっとのことでくじけない心がついてくる。
彼氏とちょっとケンカしたって「ま、こんな時もあるよね。でも私は大切にされるべき素晴らしい人間だからきっと大丈夫」とメンヘラ化することも少なくなる。
太っていることに限らず、コンプレックスがあるなら自分でどうにかするしかない。もちろんだけど、他人が自分のコンプレックスを解消してくれるなんてことはありえないのは当たり前の話。
太っているからしょうがない、とあきらめていたらいつまでたってもそのままなんだよね。
自分と向き合うことはつらいし、努力することも大変だけど、泥まみれになって一歩ずつ進むことしかない。近道なんてないから。きっとあなたもわかっているはず。
だからあとは覚悟を決めるだけ。何年かかってもいいから、努力を続けていれば必ず成果はついてくるし、努力は自信になる。その自信があなたを新しい道に連れて行ってくれるから。これは絶対。
一歩ずつでもいい。あなたの人生を変えられるのはあなたしかいない。
さあ、あとはあなた次第です。