親に感謝した日

私は母親とそれほど仲が良くない。仲が良くないわけではなくて、すごく感謝しているし尊敬もしているので、普通に連絡をとったり出かけたりもたまにするし、万が一なにかあったときには全力で支えたいと思う。ただ、なんていうか、気が合わない。あまり好きなタイプの人間ではない。

一緒に暮らしていたときにはわかりあえないことが多く、すごくストレスを抱えていたし、母親も私の存在はすごくストレスだったと思う。よく「あなたのことが分からない」と泣かれていた。

働き出してすぐに一人暮らしをはじめた。距離をとって接することでちょうどよい関係になった。

分かり合えないから、これまで一度も家族に悩みや考えを相談するってことをしたことがない。一人で考えて、結果だけを伝えることにしている。だから、今回のことも淡々と結果だけを伝えていたので、それがよけいに心配なのかよく電話がかかってくるようになった。

途中経過をはなすとよけい心配するし、勝手に悲しまれて私の気持ちまで悲しくさせるし、こちらの精神衛生上非常に良くないので、メールで済ませてあまり電話には出ないようにしていた。
先日も電話がかかってきて、ガンは一応陰性だったということは伝えておこうかと電話をとった。

「ガンじゃなかったよ。あと今度大きい病院で治療方針を相談する」
「そうなの。良かったね。手術の日が分かったら教えてね。あと何か困ったことがあったら言ってね」
それだけ言っただけだった。
あれ、と拍子抜けだったのだけど、母親なりに私の性格を考えてすごく気を遣ってくれたのが分かってうれしかった。
これまで誰にも相談できなくて勝手に孤独に思ってたけど、見守ってくれている存在がいると思ったらすごく心強くてありがたかった。